ゲンジボタルを知ろう

私たちができること
  • ホタルが飛んでいる場所では、できるだけ明かりをつけない。
  • 川の水を汚さないよう、洗剤や農薬などを減らす。
  • ホタルの性質を正しく知る。
ゲンジボタル
渓流に住んでいます。
メスは体長、約2cm。
オスは同時に明滅します。
ヘイケボタル
田園地帯に住んでいます。
メスは体長、約1cm。
ゲンジボタルより忙しく光ります。
オスもメスも不規則に明滅を繰り返します。

① 6月〈婚活〉

 オスが飛んできて、草の上にいるメスに「付き合って」と光で言います。メスが光で「イイよ」と言ったら、カップル成立です。草の葉の上で交尾します。
 ちなみにお断りする場合は、メスは返事をしなかったり、歩いて行ってしまいます。

☆ ゲンジボタルは、光でコミュニケーションをとります。人工的な照明が一番嫌いです。

② 6月〈産卵〉

 交尾後、間もなくメスは、川岸の湿ったコケの上などに、卵を産みます。卵の直径は0.5mm、1匹のメスは500~1000個産みます。
卵はボ~ッと弱く光ります。ホタルは、一生光ります。
 成虫の寿命は、オスメスともにおよそ2週間です。成虫は水分をとるだけで、何も食べません。
 メスが産卵を始める頃、オスは死んでいき、メスも卵を産み終わると、力尽きて死にます。

☆ 交尾や産卵には、茂った草や、湿ったコケが必要です。

③ 7月〈ふ化〉

 産卵から約1か月後に、卵からふ化します。ふ化したての幼虫の体長は、1.5mmほどです。
 卵から出た幼虫は、水の中に落ちます。ここから、幼虫ホタルの水中生活が始まります。

☆ 川はほどよい流れがあり、ほどよい水質であることが必要です。
 流れ(40cm/秒)は、水に酸素をたくさん溶かします。水質は、適度に栄養がある状態です。これらは、たくさんの生きものが住みやすい環境となります。

④ 7~4月〈幼虫時代〉

幼虫
カワニナ

 幼虫はおよそ9か月、水中で生活します。夜行性で、食べ物は、巻貝のカワニナのみです。そのため、エサとなるカワニナが大量にいる(繁殖している)ことが必要です。これは、カワニナのエサとなる植物プランクトン、水草、昆虫がいることが必要となります。
 幼虫は5~6回脱皮して(6~7齢)大きくなりますが、個体によってはなかなか大きくならないものもいます。

⑤ 4月半ば〈上陸〉

 サクラが咲く頃、雨が降って温かい夜に、川の中から上陸します。上陸するのは、2.5~3cmの幼虫です。
 大きくなれなかった幼虫は、そのまま水中に残り、また一年幼虫時代を過ごします。
 幼虫はまっすぐ土手を登って、雨で柔らかくなった土の中に潜り、土の部屋を作ります。

☆ 土の部屋を作ったり、そこで休むためには、常に湿り気を保って(湿生植物が生え)、露出した土が必要です。

〈メモ〉 幼虫は発光器が光ります。水の中で光るので、昔の人は「水蛍」と呼んでいました。
  また特殊な匂いを出す分泌腺があり、これで身を守ると考えられています。明治時代の生物学博士、渡瀬さんによると、食べてみたら苦くてくさかったそうです。

⑥ 5月半ば〈サナギと羽化〉

幼虫は、土の部屋の中で、1か月~40日くらい休むと、皮を脱いでサナギになります。7~10日で脱皮がはじまり、羽化します。そのまま土の中で数日休んで、体が固まると地上に出ます。

⑦ 6月〈婚活〉

① 6月〈婚活〉に戻る。

〈メモ〉

「ゲンジボタル」の語源は、①源氏物語の「光源氏(ひかるげんじ)」、②修験者(山伏)を表す「験師(げんじ)」、③暗闇で自分の存在を示すことのできる「顕示(げんじ)」など、諸説あります。
 「ヘイケボタル」は体が小さいことから、もともとヌカボタルやコメボタルと呼ばれていましたが、後にゲンジの対語としてヘイケとあてられたようです。

情報提供:H.mayumi